日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年12月18日話を聴く際に意識すべきこととは?


★話の聴き方はとても重要


『人は話し方が9割』という本が相変わらず売れているようです。

それだけ自分の話し方に課題を感じて、改善したい!と思っている人が多いのだと思います。

私もこの本を読んで、納得したり気付いたりしたところがありました。

しかし、私は、人と良い人間関係を築くためには、『話し方』よりも『聴き方』の方がはるかに大切だと思っています。

わかりやすくて惹きつけられる話をする人には誰でも好感を持ちます。

しかし、自分の話を興味を持って真剣に聞いてくれる人には、話が上手な人への好感とは比べものにならないくらい良い印象を持ちます。

従って、人間関係を良くするには『話の聴き方』を意識すべきです。

実際、『人は話し方が9割』の著者も『人は聞き方が9割』という本も出しています。

私にはそちらの方が読み応えがありました。

 

ところで、私は会議を効率的・効果的に進めるファシリテーション研修の講師を務めています。

そこでお伝えしていることは、皆さんが通常開催している会議でも、人間関係を良好に保ちながら議論を進めることがとても大切だ、ということです。

そして、そのためにも『聴き方』に留意して欲しいと思っています。

今回は会議を例にして『話の聴き方』について解説したいと思います。


★会議では議論のコントロールが大事


皆さんは、会議を効率的かつ効果的に進める上で大切なことは何だと思いますか?

私は、『話を聴くこと』だと思っています。

会議では当然のことながら、意見を言うことがとても大切です。

その会議の目的に沿った質の高い意見を言うことが、会議の成否を決めます。

そのような会議にするためには、会議の進行をコントロールする人が必要であり、その役割を担っているのがファシリテータです。

そして、ファシリテータにとって大切なことは、話を聴きながら発言の真意をつかむということなのです。

 

★大切なことは『言葉の真意をとらえる』こと


少し例を挙げて説明しましょう。

ある会議で、社内研修の企画をテーマに議論しているとします。

Aさん:「今度の社内研修は、ホテルに宿泊して2日間、集中的にやりましょうよ」
Bさん:「う~ん、どうかなぁ・・・私は会社の会議室で1日みっちりやれば十分だと思うけどなぁ」


AさんとBさんとで意見が分かれました。

さて、皆さんがファシリテータならこの後、どんな発言をしますか?

「たまにはホテルなんかでやるのもいいよね」
「余りコストをかけたくないので会議室でやる方が現実的かなぁ」

このように、どちらかの意見を支持するような発言をしてしまうかも知れません。

しかし、ファシリテータには議論を効果的に進めるミッションがあります。

そのためには発言の真意を捉えて議論を先に進めることに意識を向ける必要があります。

例えばAさんの「ホテルで2日間」という意見を聞いたら「非日常的な所で、仕事を忘れてしっかりと学ぶべきだと考えているんだな・・・どういう問題意識を持っているのかな?」と考えます。

また、Bさんの「会社の会議室で1日みっちりと」という意見を聞いたときは「こちらはそんなに学ぶことはないという認識のようだな・・・ということは、最初の論点は何のために何を学ぶか、だな」と考えます。

このように発言の奥にある意図を推測した結果、ファシリテータは

「意見が分かれたね。そもそも、この研修で何を学ぶのか、それは何を解決するためか、を整理した方がよさそうだね」

と発言します。

すると、論点がより明確になり、密度の濃い議論ができるようになるのです。


★常に『なぜ』を考える


人は「何のために」ということを考えずに、いきなり「何をするか」を考えてしまいます。

上の例では、AさんもBさんも研修では「何のために何を学ぶのか」ということを意識せずに「ホテルで2日間」など、どこで何をするか、ということを言っています。

しかし、物事を判断するには「何のために」などの根拠がないと決められません。

それどころかこのまま「何をするか」ということを論点に議論していけば段々感情的になり、議論の収拾がつかなくなる可能性もあります。

ファシリテータはそういう事態にならないように、論点を明確にしながら議論を進めて行かねばなりません。

そのためには言葉の奥にある真意を考えることが必要なのです。

 

ここまで、会議におけるファシリテータの意識の持ち方を例にお話しました。

このファシリテータに求められる『話の聴き方』は、日常の会話にも全く同じことが言えます。

人は自分の気持ちや考えをそのまま話すことはまれです。

従って、人の話を聞いたら「なぜそんなことを言ったのだろう?」と発言の裏にある『なぜ』を考えるようにしていただきたいと思います。

きっと、そうした『聴き方』が習慣になれば、今まで以上に人間関係が良くなることと思います。


★コミュニケーションを基本から学びませんか?


日本話し方センターのベーシックコースでは、人前であがらずに堂々と話せるようになるトレーニングを行っています。

それと同時に、良い人間関係を築くコミュニケーションの取り方も幅広くご指導しています。

その根底にあるのは、『相手ありき』という考え方です。

相手が何を考え、何を言いたいのか、ということに常に意識を向けてコミュニケーションを取るために必要な話し方や話の聴き方をお伝えし、それを実習で身につけていただいています。

コミュニケーションスキルが確実に向上するカリキュラムであり、多くの受講生がその成果を実感されています。

ぜひご受講ください!
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